「うまい」と「おいしい」しか言えないADHDの妻

2021-05-23

うちでは比較的自分が料理を作ることが多かったりします。

というのも自分の業務形態が業務委託契約ということもあり、自分は基本的に 1 日に晩ごはんの 1 食しか食べないため、お昼休憩を取らずにぶっ続けで働く生活をもう何年も送っています。

そのため妻と同じ時間から業務を始めたとすると、必然的に 1 時間自分のほうが早く仕事を上がることになります。

となると、仕事を上がって暇な自分が晩ごはんを作るか、という流れになるのはある程度必然となります。

加えて、自分でいうと少し嫌味っぽい感じですが、妻よりも自分のほうが料理の腕は上だったりします。

とはいえ、大学に入学してから 9 年間 1 人ぐらしを経験した自分。

対して大学も実家通い、大学卒業後即自分と同棲を始めた妻とでは、流石に料理の経験に差があるのも当然っちゃ当然です。

妻もここ 1 年ほどコロナ禍によってかなりリモートワークで働くようになったため、料理の腕も少しずつ上がっては来ています。


そんな我が家なのですが、長年気にかかっていることがありまして。

それがタイトルに書いたとおり、妻の自分の作った料理に対する感想が「うまい」か「おいしい」しかないんですよね。

「おいしいって言ってくれるだけありがたいことじゃないか!ぜいたく言うなこのクズ!」と言いたくなるかもしれないですが、確かに言いたいことはわかります。

でもどんなに手の混んだ料理を作ったとしても、どんなに手の抜いた料理を作ったとしても、「うまい」か「おいしい」しか言われないのって結構さみしいです。

ちなみに「うまい」か「おいしい」しか言われないというのは誇張表現でもなんでもなくて、最初に一口食べて「うまい」か「おいしい」と一言言って、それ以上料理に対する感想は絶対に出てこないって意味です。


そんな妻ですが、もともと食にあまり興味がないタイプでして。

実家がお金持ちということもあり、結構良いものばかり食べて育ったせいか、よっぽどじゃない限りおいしいと感じられないのかなぁと勝手に想像しています。

妻の好きな食べ物って、何もつけない餅とか、何もつけない食パンとか、コンビニのレジ前に売っている団子とかそんなのばっかりでして。

料理の作りがいがないというか、別に妻のためだけに料理を作っているわけではないとはいえ、流石に料理に対するモチベーションも下がるってもんです。


加えて ADHD の人って味覚に敏感で、偏食家が多いと言いますが。

妻も自分と付き合う前までは結構偏食家でしたが、あくまで食わず嫌いの偏食家なんですよね。

付き合い始めて驚いたことの 1 つに、妻が人生で食べたことのないものが多かったというのがあります。

数年前の話なのでもうあまり覚えていないですが、自分と付き合うまで生魚と牡蠣を食べたことがなかったというのは驚きました。

で、これは今もなのですが、妻は同じ飲食店に行くと基本的には決まったものしか頼みません。

たとえば 31 アイスクリームだと、妻はポッピングシャワー以外絶対に頼みません。

ココイチだとチーズカレーしか頼まないですし、スープストックトーキョーだとオマール海老のビスクと東京ボルシチは 100% 頼むみたいです。

対して、自分は過去に食べたものと同じものを注文するのがあまり好きでないので、毎回違うものを頼むようにします。

『たまには他のを頼んだら?』とそれとなくうながすのですが、こればっかりはどうしても変えられないみたいでして。

ADHD の人って強いこだわりを持つと言いますが、余計なお世話だとは重々承知の上で、そのせいで視野が狭くなっているのはもったいないなぁと思わずにはいられないです。


自分はかなりの数の料理漫画を読むのですが。

その中でもっとも好きな めんつゆひとり飯 という漫画に、以下のような話があります。

なんでも丁寧にこなせる性格も完璧な超人の十越さんですら、なんの不満のない旦那から、たまには手作りのお弁当の感想がほしくなってしまうわけで。

完璧超人でもなんでもない一般人の自分であれば、なおさら妻からたまには料理の具体的な感想がほしいと思うのは、ぜいたくでもなんでもないと思ってしまうわけで。

おそらく妻は何を食べても「おいしい」と言ってくれますが、たぶんそれはおいしいからおいしいと言っているわけではなくて、旦那がご飯を作ってくれたから「おいしい」と言ってくれているんだよなと。

もちろん嬉しさもありますが、一方で味に対して何も感じていないであろう妻には、一抹の寂しさを感じざるを得ないです。

単純に互いの相性が合ってないんだろうなーと再確認しつつ、そんな今日このごろです。

たまには自分の料理をじっくりと味わってくれる人に料理を振る舞いたいなー。