スクラムとは夏休みの宿題だ
過去いくつかの現場でスクラムの導入を行ってきました。
スクラムを導入するにあたってメンバーに対して説明を行う際、スクラムとはこういうロールが存在してこういうイベントがあってこういう制作物があって、みたいな説明をしてきたのですが。
まーなかなかピンと来ない方が多く、とくに非エンジニアの方にはなかなか良い感触が得られてきませんでした。
で、さっき思ったのが、スクラムって夏休みの宿題みたいなもんじゃね?と。
ということで、例によって SCRUM BOOT CAMP THE BOOK を元に、スクラムを夏休みの宿題に落とし込んでいこうと思います。
登場人物(ロール)
- たろうくん(開発チーム)
- おかあさん(プロダクトオーナー)
- おとうさん(スクラムマスター)
- 学校の先生(ステークホルダー)
作成物
- 夏休みの宿題一覧(プロダクトバックログ)
- 1 週間に終わらせる夏休みの宿題の詳細(スプリントバックログ)
- 終わった夏休みの宿題(インクリメント)
イベント
- 月曜始まり金曜終わりの平日 1 週間(スプリント)
- 月曜の朝 9:30 から、その 1 週間で終わらせる宿題を決める(スプリントプランニング)
- 平日毎朝 10:00 から、昨日やった宿題、今日やる予定の宿題、困っていることの 3 つを報告する(デイリースクラム)
- 金曜の夕方 17:00 から、その週に終わらせた宿題を確認する(スプリントレビュー)
- なぜその週に宿題が終わらなかったのか、難しい問題はあったか、不満はないかなど確認する(スプリントレトロスペクティブ)
前提
たろうくんの夏休みは 8/1 から 8/31 までとする。
夏休みの宿題の提出日は 9/1 となっている。
ストーリー その0
今日は 7/31、明日からたろうくんの夏休みが始まります。
たろうくんはスケジュールの管理が苦手なタイプだったので、おとうさんとおかあさんと一緒に夏休みの予定表を作ることにしました。
そこでまず、夏休みの宿題をすべて書き出してみることにしました。
- 国語ドリル(全 3 章、各章 25 ページ)
- 算数ドリル(全 4 章、各章 30 ページ)
- 英語ドリル(全 3 章、各章 15 ページ)
- 社会ドリル(全 3 章、各章 20 ページ)
すべて書き出したたろうくんは、各ドリルを章ごとに管理することとしました。
また、たろうくんは算数が苦手で国語と社会はそこそこ、英語が得意教科です。
そこで、苦手な教科である算数からなるべく早く終わらせていくことにしました。
あと、夏休みとはいえ土曜や日曜日くらいは宿題のことを考えず思いっきり遊びたいので、宿題は基本的に平日だけ行うことにしました。
ストーリー その1
次にたろうくんは、自分ならいつごろ宿題が終わるかを考えてみました。
- 1 日で国語ドリルが約 15 ページ進められそう
- 1 日で算数ドリルが約 20 ページ進められそう
- 1 日で英語ドリルが約 15 ページ進められそう
- 1 日で社会ドリルが約 15 ページ進められそう
国語ドリル 3 章 × 25 ページ ÷ 15 ページ / 日 = 5 日 算数ドリル 4 章 × 30 ページ ÷ 20 ページ / 日 = 6 日 英語ドリル 3 章 × 15 ページ ÷ 15 ページ / 日 = 3 日 社会ドリル 3 章 × 20 ページ ÷ 15 ページ / 日 = 4 日
5 + 6 + 3 + 4 = 18 日くらいかかりそうなので、うまくいけば 8 月の 4 週目にはすべての宿題が終わりそうだと思いました。
ストーリー その2
今日は 8/1 月曜日。
さっそくたろうくんは今週(8/1 月曜日〜 8/5 金曜日)終わらせる宿題をおかあさんと話し合って以下のように決めました。
- 算数ドリル 2 章(60 ページ)
- 国語ドリル 1 章(25 ページ)
そこでたろうくんは、最初の 3 日間は算数ドリルを 1 日 20 ページ、残りの 2 日間で国語ドリルを 12 ページ、13 ページと終わらせることにしました。
そこからたろうくんは毎日決めた宿題を終わらせていきました。
また毎朝 9:30 になると、昨日どれだけ宿題を終わらせたか、今日はどれだけ宿題を終わらせる予定か、おかあさんに報告しました。
その結果、無事 1 週目は予定通り宿題が終わりました。
8/5 金曜日、おとうさんとおかあさんに今週終わらせた宿題を報告して、たろうくんは褒められました。
ただ、一度宿題中にサボってゲームを少しだけしてしまったので、ゲームはその日の宿題が終わってからやることをおかあさんと約束しました。
ストーリー その3
今日は 8/23 火曜日。
今まで順調に宿題を進めてきたたろうくんですが、今日は少し熱が出てしまいました。
とはいえそこまで高い熱でもなかったので、朝おかあさんと約束した宿題を進めようとしたのですが、おとうさんから今日はゆっくり休んでいなさいと言われてしまいました。
たろうくんは宿題が終わるか心配になってしまいましたが、おとうさんが宿題でわからないところを手伝ってくれると言ってくれたので、今日と明日はしっかり休むことにしました。
結局その 2 日分の宿題はその週に終わりませんでした。
とはいえ平日 3 日間余裕を持ったスケジュールで進めていたので、2 日分の宿題はそこで終わらせられそうでたろうくんは安心しました。
ストーリー その4
今日は 9/1 木曜日。
たろうくんは夏休みに終わらせた宿題を先生に提出しました。
先生は宿題の中身を確認して「よく頑張ったね」と褒めてくれました。
学校から帰ったたろうくんは宿題がちゃんとできていたことをおとうさんとおかあさんに報告しました。
するとおとうさんとおかあさんも「よく頑張ったね」と褒めてくれました。
たろうくんは冬休みの宿題も同じように進めたいなーと思いました。
どうでしょうか、わかりやすいですかね?
ストーリーをかなりはしょって書いていますが、他にも以下のようなケースが考慮できると思います。
- 夏休みの途中に、理科のドリルも宿題に含まれていることを思い出した
- 答えが間違っているのに自己採点で丸をつけていた
- たろうくんには双子の弟のじろうくんがいた
- 宿題が順調に進んでいない
- 登校日に現時点で終わっている宿題を先生が確認する
- おかあさんが用事で朝早く出かけないといけない
- 宿題が思っていたよりも難しくない
で、書いていて思ったんですけど、スクラムってまさに夏休みの宿題の予定表だなーって思いました。
スクラムが苦手な人はスケジュールを立てても守れないタイプだったり、得手不得手があるんだろうなーと。
ぜひぜひ、スクラムを説明する際には参考にしてもらえると幸いです。