うまくいくチームにある たった1つの前提
ここ数年、スクラムマスターとして経験を積んできましたが。
開発がうまく進むチームと、うまく進まないチームでは、とある観点で考え方に決定的な素があることに気づきました。
そこで今回はその観点について掘り下げていこうと思います。
まずどういう観点か、結論から書いてしまいますと。
『実力相応か否か』これが物事を決める際の判断基準として正しく認識できているかどうかが、チームがうまく進むかどうかの分水嶺だなと。
この『実力相応か否か』という観点は、個人単位であってもチーム単位であっても、極論を言ってしまえば部門や会社単位であっても非常に重要だと思っていまして。
実力相応に物事が進んでいればうまくいくし、そうでなければうまくいかない、言ってしまえばそれだけの話なわけです。
たとえばプロダクトオーナーで考えた場合。
スクラムにおけるプロダクトオーナーというのは、プロダクトバックログのマネジメントがなによりも重要な業務です。
常にプロダクトを良い方向へ持っていきエンドユーザーに高い価値を素早く提供するため、プロダクトに対する具体的なイメージを持ち、それを実現するための最適なアプローチをプロダクトバックログに落とし込む必要があります。
が、プロダクトオーナーの実力が相応でない場合、開発メンバーからすると『なんでプロダクトバックログの更新がこんなに遅いんだ?』『なんで上位のプロダクトバックログアイテムの具体化にこんなに手間取るんだ?』『なんでプロダクトバックログアイテムの順番すら並び替えられていないんだ?』といった事態が頻発します。
なぜこういったことが起きてしまうのか、もしかしたら作っているプロダクトがプロダクトオーナーの思想の範囲外なのかもしれませんし、そもそも実力以上のマネジメントスキルが求められているのかもしれませんし、同様に単に仕事が遅いヒトなのかもしれません。
いずれにせよ実力不相応のロールに就いてしまったがために、結果としてチームの脚を引っ張ってしまいボトルネックとなり、開発の速度がうまく上がらないというケースは過去何度も目にしてきました。
たとえば開発メンバーで考えた場合。
スクラムにおける開発メンバーというのは、機能横断的でありかつ自己組織化していくことが重要です。
常にスプリントゴールの達成に向けて全力を尽くすことがなによりも重要な業務です。
常にスプリントゴールの達成に向けて開発を行うため、開発メンバー同士円滑なコミュニケーションを行い、スキルを駆使してコードに落とし込んでいく必要があります。
が、開発メンバーの実力が相応でない場合、開発が中盤に差し掛かり始めると少しずつ開発の速度が落ちていき、結果的に全然マイルストーンが間に合わない、というケースは本当によく目にしてきました。
なぜこういったことが起きてしまうのか、もしかしたら使用している技術に対する知識や頭脳が追いついていないのかもしれませんし、スケジュール感を考慮しないテストを書きすぎているのかもしれませんし、下手な共通化やルールの存在しないプロジェクト設計をしているのかもしれません。
いずれにせよ実力不相応の開発を進めてしまったがために、結果としてコードの品質を落としてしまい、開発の速度が落ちていくというケースも過去何度も目にしてきました。
ではなぜ実力不相応な判断を行ってしまうのか。
理由は比較的シンプルで、自分の実力を過信しているからだと思っていまして。
当たり前ですけど、これから開発を行うとなった際に、その開発の中身を見ていくと不透明なことがまったく存在しない、というケースは稀です。
もちろん経験を積むことによって徐々に不透明なことは少しずつ減っていきますが、それでも毎回同じシチュエーションで同じメンバーと開発を行うわけではないですし、常に状況は変化する以上、不透明なことが存在しないケースはありえません。
その中で経験の有無によらず、むしろ中途半端に技術を持っているヒトや、過去の成功体験に縛られているヒトであるほど、その不透明な存在は認識しつつも『まぁなんとかなる』と思いがちなのかなと。
では一体どうすれば開発をうまく進められるのか。
個人的な結論としては『自信を持たないこと』もうこれに尽きるかなと思っています。
自分は性格上、というかスクラムマスターとしてモチベーター的に振る舞うことが多いので、表向きには『まかせてください!』とか『なんとかします!』などのポジショントークをよく行いますが。
心の内では『本当に大丈夫かな?』とか『自分は間違っているんじゃないか?』と常に自身に疑ってかかるようにしています。
が、残念ながら世の中は自分たちの実力を過信しているヒトがやっぱり多いのかなと。
コードを書くときも、何度も使用してきた技術であっても公式サイトをよく見返すようにしています。
コードを書いたあとも AI に確認を行い、AI からのレスポンスに対しても『本当に正しいことを言っているのか?』と疑ってかかるようにしています。
誰かとコミュニケーションを行う際も、もうほぼ人を見たら泥棒と思えに近いマインドも持ちつつ話すようにしているので『一体どういう意図で話しているんだ?』とか『なにか裏があるんじゃないか?』と常に疑ってかかるようにしています。
これだけ書くと『性格悪いなー』と思われるかもしれませんが、でもこれらって至極真っ当で普通なことだと思っています。
むしろこれくらい自分に自信を持たないほうが、結果的に物事はスムーズに進むよなと。
小さい頃、おじさんから「テレビでやっていることのほとんどはヤラセだと思ってみたほうが良い」と言われたことが未だに記憶に根強く残っているのですが。
個人的には結構金言だと思っていまして、何事も疑ってかかることが重要であり、それは自分自身に対しても同様だよなと思います。
あんまり考えすぎるとネガティブマインドに陥りがちですし、鬱っぽくなりがちではあるんですが、多分それくらいのほうが結果的に良い方向に向くのかなと思いつつ。
自信を持つより、自分を疑うことが、案外いちばんの近道かもしれません。